
2025/09/29 旭町を元気に
良い物を作りたい いつも前進する88歳 ~藤原 重治さん~
秋の味覚といえば「ぶどう」。近年、亀岡市旭町でもぶどうを育てる方が増えてきました。その中で「やっぱり師匠といえば藤原重治さん」と誰もが口をそろえます。今回は、ブドウ園の紹介に続き、重治さんご本人のお話を伺いました。88歳になられてもなお前進を続ける姿勢は、地域にとってまさに高齢者の「目標」だと感じました。
●ブドウ園を始めたきっかけ
始まりは15年前。南丹市八木町に住む知人からぶどう作りを教えてもらい、小さく栽培を始めたのがきっかけでした。「その頃は自分や家族で食べるくらいのもんやった」と笑顔で語る重治さん。やがて、娘が育ててほしいと買ってきた苗「ピオーネ」や「シャインマスカット」なども手掛けるようになり、次第にブドウ畑も広がり、今ではおいしいと注目されるブドウ園に成長しました。

●ぶどう栽培のこだわりと学び
「ブドウの一枝に一房、一房には40粒ほど」。収量を増やすのではなく「良い物を作る」ことを第一に考え、徹底した摘粒が大切なのです。
「もったいないと思う人も多いけど、そこを我慢せなあかん。割り切る勇気がいるんや」ときっぱり。
さらに驚かされたのは「ぶどうのおいしい食べ方」。ぶどうは軸に近いところ(上部)から下部へ糖分が流れるため、食べるときは先から味わうと甘さの変化を感じやすく、「このぶどうはおいしい」と実感できるのだそうです。知識だけでなく、実際に食べる楽しみ方まで伝えてくださるあたりに、栽培者としての深い経験がにじみます。

●これからの目標
「良い物を作る、これしかない」。重治さんは迷うことなくこう答えます。毎年が新たな挑戦であり、「来年はもっと良いものを」と楽しく希望を持って教えたり、教えてもらったりと前に進む気持ちを大切にされています。農業は自然との対話。失敗も成功も繰り返しながら、常に学び続ける姿勢が成功につながるのだと思います。
年齢を重ねても若々しくいられるもう一つは、いつも体力維持・カラオケ・喫茶店巡りといった心と体のリフレッシュをされているようで、これが大きな目標達成する源だと思います。



●日々の暮らしと畑仕事
定年後の生活は、すっかり農作業中心に。「今日はブドウの枝を切らな」「あそこを手入れせな」と、日々やることは尽きません。現在はぶどうだけでなく、柿や梨・キュウイ・ミカン・プラム・イチジク・タラの芽・レモンといった数々の果樹栽培や野菜にも力を入れておられます。
当初は、府の指導員に出向いてもらい指導を受けていたが指導員の方が変わると頼りなく感じ、自分で本や新聞を読んで勉強するのはもちろん、最近ではユーチューブも活用。最新の栽培を身に着ける努力家でもある。
「都会に住む友達はゴルフやスキーをしてるけど、わしには畑の方が忙しい。植物は待ってはくれない。することいっぱいあるで」と笑いながらも、その充実ぶりが伝わってきます。
●地域とのつながり、人柄の魅力
88歳とは思えないほど若々しく元気な重治さん。その秘訣は「良いものを作りたい」という情熱にあります。自分だけでなく「○○さんに手伝ってもろたんや」と仲間を大切にされる姿勢は、人間味にあふれています。地域の方もその人となりが魅力で素直に教えを乞うのだと感じました。
笑うととても可愛らしく、憎めない人柄。その温かさが周囲の人々を自然と引き寄せ、旭町でぶどう栽培が広がっていく原動力にもなっているのではないでしょうか。


●地域の宝として
重治さんのお話からは、農業にかける情熱と学び続ける姿勢が伝わってきました。「良いものを作って、皆さんに食べてもらう」。その思いが果物や野菜を通じて旭町の魅力を高める大きなものだと感じました。
88歳にしてなお「まだまだ青春」と語り、前進し続ける重治さん。これからも旭町の名産「ぶどう」を広める旗振り役としてまた、私たちの地域を元気にしてくださることにつながるでしょう。