 
                        2025/10/27 旭町を元気に
美味しいものづくり それはコミュニケーション~なごみの里あさひ もち工房4人~
5年前、私は「なごみの里あさひ」で白餅や山菜おこわを作る様子を取材し、手際の良さや丁寧な作業を中心に紹介しました。今回はさらに一歩踏み込み、調理場で働く4人(平井妙子様・中川弘美様・川勝郁子様・入江静代様)の方へ「なぜなごみの里あさひで働くのか」「何を思い、どのような魅力を感じているのか」を伺いました。そこには“ものづくり”を超えた、人と人とのつながりと、地域への深い愛情がありました。





◆ 調理場に入ったきっかけ
設立当初から関わっているお二人は、退職を機に理事の方から「ちょっとやってみない?」と声をかけられたことがきっかけでした。残る二人も、先に働いていた方が辞めることになり「やってみませんか?」と誘われたそうです。ただ、誘われたからといって誰でも始められるわけではありません。「作ることが好き」という気持ち、そして「誰かの役に立ちたい」という思いが根底にあるからこそ、この場に集まったのだと感じました。



◆ 出品する品と工夫
曜日ごとに白餅・おこわ・団子・いなり寿司・味噌などさまざまな商品が並びます。季節によってはメニューを変更し、その時期にしか手に入らない食材を使った一品も作られています。時には季節の山椒の実を採りに行ったりされています。特に印象的だったのは、「ヨモギを湯がいて冷凍保存」されていることです。これはヨモギの旬が過ぎても人気の“編み笠団子”を作り続けるための工夫であり、手間を惜しまない姿勢の表れです。また、ゆず味噌もゆず一つひとつ皮をすって丁寧に作られており、どの品にも「食べる人の笑顔を想像しながら作る」という愛情が注がれています。設立当初は白餅だけだったそうですが、現在の豊富な品は、「もっと喜んでもらいたい」という思いと、4人のアイデアが重なり合った結果です。この原動力こそが、なごみの里あさひ加工品の魅力を支えています。


◆ 嬉しかったこと・辛かったこと
皆さん「うーん」としばらく考えてから「夏の暑さは本当にこたえます」と口を揃えます。調理場はエアコンが効きにくく、特に蒸気が多い日は立っているだけでも汗が止まりません。
また、始めた当初はレシピを覚えてもらうことにも苦労されたそうです。家庭料理とは違い、いつでも同じ味を商品として提供する責任があるからです。
一方で、「○○が美味しかったよ」「送ってほしい」とお客様から声をかけられると、「やっていて本当によかった」「また頑張ろう」と心から嬉しくなると話されていました。寒い冬の朝、「行きたくないな」と感じる日でも、家族の協力や調理場で仲間の顔を見ると自然と「よし、頑張ろう!」という気持ちに変わるそうです。この“仲間との絆・家族の協力”こそが、辛さを乗り越える力になっています。


◆ コミュニケーションが生み出す力
お話を伺って感じたのは、4人の間に強い信頼と尊重の心があるということです。一人が仕切るのではなく、お互いの意見を出し合い、笑い合いながら決めていきます。その姿はまさに「前進する集団」であり、どんな困難があっても乗り越えられるエネルギーを持っていると確信しました。
「楽しいから働ける」「仲間がいるから続けられる」――この言葉は、単なる職場の話ではなく、「楽しいから住む」これからの地域づくりのヒントでもあります。


◆ 結びに
「もう年だから」と笑っておられましたが、その表情や行動からは、まだまだ地域を元気にする力が感じられました。なごみの里あさひは、単なる加工場ではありません。人がつながり、支え合い、笑顔が生まれる場所です。
 美味しいものづくりは、コミュニケーションからと、それぞれの家族の仕事に対する協力が大きな力となっているのです。
 仲間の笑顔とともに生まれる味には、人の心を動かす力があります。
 これからも「楽しい仲間がいる場所 亀岡市旭町なごみの里あさひ」 多くの人に愛されていくことでしょう。